KBSの推奴(チュノ)、今週で終了でした。
全24話だったんですね。
どうやら私は大団円に入りかけたところで見はじめたようです。
ものはついでに、1話から通して視聴してみました。
いろんな面白さの要素を備えたドラマでした。
追跡劇らしいスリルやサスペンスもあれば、
武術満載のアクション活劇としての痛快さもある。
また権謀術数の内幕を描いた政治劇としても楽しめます。
映画撮影並みのロケハンをしたうえで、
ハイビジョンなカメラで撮影したそうで映像も美しいです。
群像劇としてもすぐれているなって気がします。
ストーリー展開の意外性もさることながら、
細部にわたる人間観察の確かさに感心させられました。
たくさんの登場人物たちそれぞれに、物語が用意されてます。
歴史書に名を残すような高官から名もない市井の庶民、
さらには人として扱われなかった奴婢たちにいたるまで丁寧に描いてます。
端役までひとりひとりの小さなドラマが別に作れるくらい。
描写も多面的で、悪役もその悩みや悲しみまで描かれているので、
ただ非情・冷血というだけではない陰影のある人物像になってます。
登場人物たちの生きた姿が、オーケストラの旋律のように重なり合って
ひとつの時代や歴史を表現している。そんな印象かな。
ヒョギ氏は毎回迫真の演技でしたね。
演じるというより、推奴人イ・テギルそのものになってました。
テギルのオンニョニへの思いの深さ、
最後は自己犠牲へと昇華していく愛は見ていて痛みを覚えるほど。
この役はおそらく役作りが難しかったと思うんです。
班家の気弱な若様から悪辣なアウトローに転落するものですから。
でもこの人物の芯にある優しさに一貫性があって、
見る側も納得できました。
ヒョギ氏にとっても大きな転機になるドラマであることは、間違いなさそうですね。
オ・ジホさんも端正な容姿に誠実な武人役がよく似合っていました。
ソン・テハという人物は屈折がないぶん退屈ですけれど、
演じやすくはあったでしょう。
オンニョニを演じたイ・ダヘさんは輝くばかりの美しさで、
テギルの忘れられない面影を演じるのにぴったりです。
ただ演技力の点では、この役まだ荷が重かったんじゃないかな。
オンニョニは強くてしたたかでかつ女性としての誇りも持っている人なので、
ただ端正に気丈に演じるだけでは足りない難しい役柄だと思います。
容姿と演技力を兼ね備えた女優さん...どなたなら演じきれるかな?
もうひとり主要な女性登場人物にソラという旅芸人の少女がいます。
一座から逃れたところを救われテギルを慕うようになります。
キム・ハウンさんが演じてるんですが、こちらの方がまだ自然に見えました。
女優さんの中では婢を演じたミン・ジアさんと、
宰相の娘で障害を持つ女性を演じたイ・ソニョンさんがうまく演じておられました。
写真の左側が監督、右が脚本家です。
お見かけするところ、アラフォー世代なのかな?
若い感性でこの骨太の作品を作られたんでしょうね。
あ、これはランボーのパロディーだとか、
どことなく用心棒を連想させるな、って場面もあって。
そういう下敷きになった映画の文脈をたどってみるのも面白そうでした。

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